
バーテンダーの基本と仕事
バーテンダーとは
何種類ものボトルを巧みに操り、軽快にシェイカーを振り、丁寧に磨かれたグラスにカクテルを注ぐ一連の所作はクールでカッコ良く、憧れの職業の一つと言えるでしょう。「バーテンダー」とは、BARと「お世話する人」という意味のTENDERが組み合わさった言葉であり、本質的には「接客」のお仕事です。BARカウンターでの対面接客は複数のテーブル席を担当するホールスタッフに比べ、よりきめ細やかなサービスが求められますが、その分やりがいも大きい仕事と言えるでしょう。また、同じくお酒を扱う仕事である「ソムリエ」とは違い、オリジナルカクテルを作るのもバーテンダーの魅力の一つです。


バーテンダーに必要なスキル – 技術編
バーテンダーになる為の必須資格はありません。逆に言うと、経験とセンスがものをいう職業だと言えるでしょう。お酒の知識に関しては、カクテルに使用するお酒は数百種、レシピは数千種類と言われていますので、「そんなに覚えないとバーテンダーになれないの?」と思われるでしょうが、そうではありません。一般的に一人前のバーテンダーとして覚えておくべきカクテルのメニュー数は50~100種類程度で、大会に出場するレベルのバーテンダーが把握しているレシピでも100種類程と言われています。もちろん、現在一流と言われているバーテンダーも見習いとして現場に立ちながら、お酒の種類やレシピの基本を学びオリジナル性を高められてきたのです。
バーテンダー4つの技法
- シェイク材料同志をしっかりと混ぜ合わせたり、冷やしたり、空気を入れ、味をまろやかにするため、カクテル専用シェイカーに材料を入れ、リズミカルに勢いよく振る事。
- ステアお酒と氷をグラスに入れ、BARスプーンやマドラーなどでかき混ぜる事。氷が解けてお酒が水っぽくならないように手早さが必要。
- ビルドシェイカーを使わずグラスに直接材料や氷を入れ、ステアする事
- ブレンドフローズンカクテルで使われる技法で、ミキサーに氷などを入れかき混ぜる事
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バーテンダーに必要なスキル – 接客編
お酒の味以上にバーテンダーによって異なるのが「接客」です。お酒の好みはお客様からのオーダーで分かりますが、接客の好みはバーテンダーがお客様の雰囲気を読み取るしかありません。どのお客様に対しても共通して言えることは、楽しい時間を過ごしていただく事ですが「楽しい」の基準はお客様ごと違います。バーテンダーとの何気ない話を楽しみたい方もいれば、一人黙ってグラスを傾けたい方もいます。
同じお客様であっても、ビジネス相手と恋人との来店とでは過ごし方が変わります。お客様とバーテンダーの二人きりの時間帯もあれば、急にカウンターが満席になる場合もあります。洞察力、会話力、アドリブ力など経験を重ね身に付けるほかありません。出しゃばらず、引きすぎず、ゲストを楽しませる。例えればTV番組の「司会者」のような存在であり、バーテンダーの仕事力とは、バーテンダー自身の「人間力」そのものと言えるのではないでしょうか。
お酒が飲めないとダメ?
結論から言うと、お酒が飲めないバーテンダーは多くいます。もちろんお酒の香りを嗅いだだけで調子が悪くなる人は無理ですが、アルコールに強いか否かは関係ありません。リキュールなどの味が分からなくては思い描く味を再現できない為、試飲は必要となりますが、少量を舌で味わうだけで、吐き出すのが基本です。お客様からお酒を頂く場合も、アルコールを入れずにカクテルを作るなどの工夫で対応できます。
カクテルのベースとなる代表的なお酒(スピリッツ)の種類
- ジンGin
ジンは大麦、じゃがいも、ライ麦で作られる蒸留酒にボタニカル(ハーブ・スパイス・果皮など)を加え、再度、蒸留させることで独特の香味を持ちます。アルコール度数は40~50度前後。ジンを使ったカクテルは「ジントニック」や「ギムレット」、「マティーニ」などが定番です。
ジンを使用した代表的なカクテル
- ジントニックアルコール度数: 約5度
ジンとトニックウォーターを1対4の割合で割ったもの。ライムの酸味やトニックウォーターの苦みなど感じるさっぱりでドライな味わい。
- ジンバックアルコール度数: 約15度
ジンに、レモンジュースとジンジャーエールをブレンドしたもの。ピリッとする刺激の中に、ほんのり甘さを感じる味わい。甘いジントニックに対し、刺激を求めたカクテル。
- ジンフィズアルコール度数:約10度
シンプルながらも作るのが難しいとされているカクテルのひとつ。ジンに砂糖を入れ、炭酸で割るカクテル。甘さはなく爽やかな味わい。
- ウォッカVodka
ロシアが本場のウォッカはジンと同じ材料ですが、蒸留したお酒を白樺の炭で濾過して完成するお酒です。その味は、クセがなく飲みやすい、とてもまろやかなお酒と言われています。アルコール度数は40?50度前後。
ウォッカを使用した代表的なカクテル
- ソルティードッグアルコール度数: 約13度
ウォッカをグレープフルーツジュースで割ったカクテル。グレープフルーツの酸味が、ウォッカとの相性は抜群。グラスに塩を飾ることで、グループフルーツの苦みを緩和させる効果も。
- スクリュードライバーアルコール度数: 約13度
ウォッカにオレンジジュースを混ぜたシンプルなカクテル。辛口のウォッカにオレンジのもつ甘さが加わったような味わい。柑橘系のフルーツを混ぜるなどアレンジも多数。
- ブラッディー・メアリーアルコール度数:約15度
ウォッカにトマトジュースを混ぜたカクテル。様々な調味料が入り野菜などで飾り付けします。トマト特有のまろやかな口当たり。トマトのアミノ酸がアルコール分解酵素のはたらきを促すことから体に良いと注目されている。
- テキーラTequila
テキーラの原料はサボテンではなく、竜舌蘭(リュウゼツラン)という植物で、 形状はアロエに似ています。アルコール度数は35度~55度
テキーラを使用した代表的なカクテル
- マルガリータアルコール度数:約20度~30度
テキーラにホワイトキュラソー、フレッシュライムジュースを加えて塩を飾るカクテル。テキーラの濃厚な風味と柑橘系の爽やかさが良く合う味わい。
- マタドールアルコール度数:約15度
テキーラにパイナップルジュースやライムジュースを加えシェイクしたカクテル。ピリッとするテキーラに、パイナップルジュースの甘酸っぱさが混ざった口当たりの良い一杯。
- エル・ディアブロアルコール度数:約13度
テキーラにクレーム・ド・カシスを注ぎかき混ぜ、レモンジュースとジンジャーエールをブレンドしたカクテル。カシスやレモンのフルーティで爽やかな甘酸っぱさが飲みやすさを促進させるカクテル。
- ラムLamb
ラムの原材料はサトウキビで、甘みが強いのが特徴です。
ラムを使用した代表的なカクテル
- モヒートアルコール度数:約10度
「ラム酒を飲みたいけど、アルコール度数が気になる」という人にオススメされるカクテル。ホワイトラムに炭酸を加えるシンプルなレシピが一般的。ミントのフレッシュさにライムの柑橘アロマが特徴のさっぱりした味わい
- キューバン・スクリューアルコール度数: 約13度
「ラム・オレンジ」とも呼ばれ、ラム酒にオレンジジュースを混ぜたカクテル。さっぱりした味わいながらも、ジューシーさを感じる甘口カクテル。
- ダイキリアルコール度数: 約25度
ラム酒にライムジュース、砂糖やガムシロップを混ぜシェイクするカクテル。ラムの風味とライムの酸味が口に広がるような爽やかな味わい。砂糖の分量で甘さを調整する。
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バーテンダー(BAR)用語集
- チャージ
- 正式名称は、「テーブルチャージ」や「カバーチャージ」。席料のこと。
- ショート / ロング
- ショートはカクテルグラスに氷が入らないため、適温状態で飲める時間が短いこと。ロングはその逆で、グラスに氷が入るため、適温を長く維持し、時間をかけて飲むことができます。
- ナイトキャップ
- カクテルの一種。寝る前に飲むお酒のこと。
- フィズ
- スピリッツに、レモンジュースと砂糖を入れシェイクし、炭酸水で満たしたもの。酸味を感じ、爽やかな味わいになります。
- ツイスト
- レモンの皮などの柑橘類の皮を指先でひねること。カクテルに爽やかな香りを添えることができます。
- ミスト
- クラッシュアイスをグラスに敷き詰めウイスキーを注ぐ飲み方。細かい氷を使用しているので溶けやすく飲みやすくなります。
- ロック / ストレート
- ロックグラスに大きな氷を入れてお酒を注ぐロックは、時間が経つごとに氷が溶けて味の変化を楽しむことができます。ストレートは、ショットグラスに注ぎ、そのまま飲むことを指します。
- トゥワイスアップ(トワイスアップ)
- ウイスキーに常温の水を同量加える飲み方。アルコール度数を下げる効果があることや、ウイスキーの味をわかりやすくするメリットがあります。ウイスキー愛好家や専門家が好む飲み方。
- ブレンデッド
- その土地の水や気候などで蒸留所の個性が出やすい「モルトウイスキー」と、とうもろこしなどの穀類ですっきりとした味わいが特徴の「グレーンウイスキー」をブレンドしたウイスキーのこと。
- ドライ
- お酒やカクテルの味で、口の味に利用する表現のこと。反対に、甘口の場合には「スイート」と表現します。