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株式会社 バルニバービウィルワークス
代表取締役社長 石倉 治
より多くの人たちと向き合いながら飲食という仕事を盛り上げていきたい
石倉 治 – Osamu Ishikura –
1982年、神奈川県生まれ。大学卒業後、飲食系企業に就職。店長、SVと順調にキャリアを積む。30才で株式会社 バルニバービに転職。「GARB 江ノ島」の立ち上げに携わり、店長を1年半務めた後、新規事業「鹿屋アスリート食堂」の責任者を任される。2016年、株式会社 バルニバービウィルワークス代表取締役社長に就任。
一人ひとりの個性を活かして独立した店舗運営に取り組む
「飲食を通して、なりたい自分になる」―バルニバービグループがフィロソフィーとして掲げるその言葉を今、まさに石倉氏は体現している。バルニバービウィルワークスの代表取締役社長に抜擢されて早2年、店舗数は倍以上の22店に拡大。さらに3店舗のオープンを控え、快進撃を続けている。
「飲食は本当に楽しくて、可能性のある仕事だということを伝えたい。そう考えていると、いつの間にかこうなっていました。店舗を増やしたいとか、会社を大きくしようとばかり思って、やってきたのではありません」
関東圏に限らず、名古屋や福岡にも出店。単純にエリアで区別して、グループ会社ごとに分担しないのもバルニバービグループならではと言える。
「新店をどこが担当するのかとなったとき、真っ先に手を挙げたのが当社だったからです。グループには自分のようにどんどん広げていく者もいれば、1つの店を深めたいという者もいる。どういう代表であるのかを決めるのは自分自身です。何店舗、年商何億円というようなノルマは一切ありません」
同じ「グッドモーニングカフェ」や「GARB」等の屋号を背負っていても、内容は各店舗により大きく異なる。敢えて、統一化をしていない。
「ブランドごとにオペレーションを統一したほうが利益を生み出しやすいかもしれません。しかし、それでは決められたことに従うだけの仕事になってしまいます。メニューも本当にいい商品に関しては共有しますが、店によってバラバラです。料理は人がつくるもの。シェフがどこで修業を積んだのか、育った環境によっても個性は違ってきます。お客様により美味しく、より楽しんでいただける店づくりをするには、現場に権限を与えて自分たちで考え、提案してもらったほうがいい。それぞれが独立した店舗運営をしようというのが、私たちの考え方です」
個性を活かす店づくりは理想的ではあるが、マネジメントする側の負担は増していく。経営規模がますます拡大する中、頭を悩まされる場面も多い。現場と温度差が生じないよう、自分の考え方を伝えることに一番労力をかけているという石倉氏は今もほぼ毎日、どこかの店舗に足を運ぶ。スタッフと言葉を交わし、表情を読み、一人ひとりの想いを汲みとり続けている。
「行き詰まっている人は何かしらサインを出しています。そこでうまくいかなくても、他の店なら活きる人材かもしれません。逆に、パワーを発揮している人はまとっているオーラが見えます。入社1、2年は店舗を回って研修が普通ですが、能力のある人なら1年目で店長に取り立ててもいいでしょう。出店を続けるのは、チャレンジできる環境をつくるためでもあります。みんなにチャンスを与えられなければ、自分の存在意義はないと思っています」
産学協同や自治体とのコラボなど飲食業の枠を超えた事業を展開
地方自治体とのコラボレーションや産学協同の業態開発など、バルニバービグループは飲食を通した地方創生にも積極的に参画している。代表に就任する前、石倉氏が責任者として取り組んだ「鹿屋アスリート食堂」もその一つ。飲食業の枠を超えたプロジェクトから、たくさんの学びを得たという。
「鹿児島県鹿屋市とコラボし、産官学が連携した新規事業でした。鹿屋体育大学はオリンピアンも輩出するような大学なのですが、学生たちの食環境を良くするために食堂をつくってほしいという要請を受けてスタートしました。スポーツ栄養学の先生に監修していただき、鹿屋の良質な食材を用いたメニューを開発。すべて栄養計算された食事を提供する店を、大学のすぐ近くに開いたのが1号店となりました」
その後、都内を中心に店舗を展開。プロジェクトの本格始動に際して、人材募集をかけたところ、あまりの反響の大きさに驚かされたという。
「管理栄養士の資格を持っている人に店にいてもらいたいと考えたのですが、びっくりするくらい若い女性の応募がありました。大学を出て国家試験を受け、資格を取っても就職先は病院か給食センター。やりがいがないわけではないけれど、病気になる前の人たちにアプローチできるところで働きたいという声をたくさん聞きました。こんな人たちがいるんだ、そういう環境をつくらなければとつくづく感じました」
また、カフェやレストラン開発の経験は豊富でも、”食堂”業態は初めて。お客様に毎日食べに来てもらえる店をイメージして、おもしろいアイデアはどんどん取り入れていった。
「たとえば運動も一緒にできればいいんじゃないかと、ランニング施設を併設しました。でも、ロッカーのサイズはどのくらいがいいのかとか、見当もつきません。シャワーのヘッド一つを選ぶのにも、ショールームでひたすらシャワーを浴びて決めました(笑)」
プロに任せれば簡単に済むものを、時間をかけてでも自分たちで挑戦するのがバルニバービの流儀。実際にチャレンジする体験があってこそ、多くのものを得られるのだろう。次なるプロジェクトでは、ドッグランのコースをつくる計画も進めているとのこと。飲食業とは…という狭い固定観念にとらわれていると、想像もつかないような世界がそこには広がっている。
なりたい自分”を実現するために
目指すのはアメーバのような組織
現在も大規模なプロジェクトが多数進行中。さらに、石倉氏のもとには行政機関からの出店依頼など日々無数の案件が舞い込んでくる。今後、どのようなビジョンを描いているのかと問いかけると、意外な答えが返ってきた。
「実は大きなプロジェクトを手がけたいとか、ここにこんな店をつくりたいというのはあまりありません。それよりも、やりたいと手を挙げてくれる人がいることが大切。そういう人たちに『実現できるんだよ』と伝えていくことこそが、ウィルワークスの担う部分であると考えています。今後も、より多くの人たちと一緒に飲食という仕事を盛り上げていきたいという想いだけです。この仕事に熱を持っている人たちと向き合っていきたいですね」
人それぞれに異なる”なりたい自分”を実現するために―バルニバービが目指すのはアメーバのような組織。これからも、型にはまった飲食業界の変革を牽引していくにちがいない。
「将来独立したい人もいれば、接客が好きだったり、ワインが好きだったり、中にはデザートだけをつくりたいという人もいます。各自が自分のスキルを磨き、チャレンジできるようにするには、アメーバのような組織が必要です。個々が独立しながらも、いいところは重なりあい、それでいて個性を発揮できる。各分野のプロフェッショナルとして活躍できる組織をどんどん広げていきたいと考えています」
株式会社 バルニバービウィルワークス
─ 店舗情報 ─
Riverside Cafe Cielo y Rio
東京都台東区蔵前2-15-5
電話:03-5820-8121
GOOD MORNING CAFE/中野セントラルパーク
東京都中野区中野4-10-2中野セントラルパーク サウス1F
電話:03-5318-3222
Wee Nam Kee Chicken Rice
東京都港区芝浦3-4-1 田町グランパーク1F
電話:03-5439-9120
AOI NAPOLI
東京都文京区小石川3-32-1 2F
電話:03-5805-1605
UPMARKET PIZZA&CAFE
東京都練馬区豊玉中2-28-6
電話:050-3184-2651
Trattoria Macco
千代田区内神田1-16-12 青木ビル1F
電話:03-5912-2390
DRAWING HOUSE OF HIBIYA
東京都千代田区有楽町1-1-3
東京ミッドタウン日比谷6F
(2018年3月OPEN)
現在22店舗展開中
文:西田 知子 写真:ボクダ 茂
2018年03月15日 掲載
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