
第17回 いちなか


清潔感のある店内とうまい生ビール。入店してすぐに「正解」と思える。
今年(2012年)の12月で10周年を迎える「いちなか」さん。30才で独立し、綾瀬の地に店を構えて、地鶏と焼酎というコンセプトを変えずにやってきました。
まず驚かされるのは店内の清潔感。
串焼きのお店なのに、油や煙でテーブル周りがベトベトなんてことはまったくない。ケヤキのテーブルは磨かれ、10年目だなんて思えないほど、綺麗な空間のままなのです。
そして生ビールがうまいっ!
「生ビールをつくるコツは5つ。まず鮮度、次にガス圧の調整、3つめがビール回路の洗浄、4つめがジョッキの洗浄、そして注ぎ方。うちでは、サーバー管理にこだわり、営業前と営業後にサーバーのクリーニングを行っています。誰だって、仕事が終わってさぁ一杯というとき、生ビールがきりっと冷えてて美味しくないと、一日が台無しですからね?」とオーナーシェフの岡本久さん。
クリーミィな泡とスモーキーバブルがうまい生ビールの証拠。ぐいっとまずは生。焼酎を売りにしているお店でありながら、生ビールにこれだけの注意を払っているところに拍手!
ひとり飲み、カップル、宴会グループなど、さまざまな飲み方に対応できるよう、店内は5つの顔をもっています。ビアガーデン気分を楽しめるテラス席、大切な人とのお忍びカウンター席、キッチン正面ののオープンカウンター席、わいわいガヤガヤできるテーブル席、そして個室。
「どんなスタイルでも、みなさんが気軽にお酒を楽しんでいただけるような空間を目指しているんですょ」


レバーの鮮度、品質もここまでくると、フォワグラを食べているかのよう。
この店の名物メニューが炭火串焼きの「限定レバー」と「限定ハツ」。レバーのプリプリ&まったり感が写真からもお分かりいただけると思います。しかも粒がでかい! まずは肉質に見とれながら焼酎を一杯。
ここで驚くのが割り水への配慮。鹿児島の芋焼酎には鹿児島つながりで、割り水も鹿児島産の天然水「HOUMEI(ほうめい)」を出してくれます。私は泡盛(久米島11年産)をロックでいただき、少しだけ「HOUMEI(ほうめい)」を垂らして見ると、グラスの中でアルコールが楽しそうに舞っていました。
さて、レバーをいただきましょう。
しっとりと滑らかな表面とサラリとした肉質。オリジナルブレンドの塩加減もちょうどよく、濃厚な旨みと甘みが口の中でほどけていきます。鮮度は申し分なし。脂のノリもあって、全体的にはフォアグラを串でいただいているような感覚に近い。
これでまた氷が解けかけたころの泡盛がうまくなって……。たまりませんね。
このレバーを使った「レバにら炒め」も、この店の名物メニュー。トロッとした食感がみごとに生かされ、なんだかスープとごはんで定食でいただきたくなりました。
なんか、こだわっている店って店主がうるさそうですが、岡本さんは近すぎず遠すぎず、あたたかい目線でお客さんたちとの距離感をとります。だから飲んでいても快適!
小さな努力、目に見えないところの日々の積み重ねの結果が、オープン10周年ということなんですね。

とろっとろのレバーと新鮮なにらの競演。街場の中華屋さんのレバニラより美味いっ! ボリュームも満点です。

カップル席、個室、カウンター、テーブル席と多彩な空間。季節に関わらずオープンしているテラス席もあります。

ケヤキの質感をそのまま天板に生かしたテーブル席。壁には、さまざまな焼酎がずらりとならんで、次の一杯を迷うほど。

- いちなか
- 東京都足立区綾瀬2-24-11 1F
- tel.03-3603-3701
- 営:17:00~翌1:00
- 休:水曜日
- 交:東京メトロ綾瀬駅徒歩2分
はじめて降り立った綾瀬駅。「いちなか」さんのある南口側の一角はいい感じの個人店がひしめき合っていました。さて、次のお店は? 「五反野駅の『あすなろ』さんは、私がプライベートで通っている和食のお店です。店主の松本さんの食材に対するこだわりが鋭く、先輩として勉強させていただいています」とご紹介いただきました。ありがとうございます。それでは次回も千代田線沿線でお会いしましょう。