
第44回 鮨とDining Bar しん


鮨とダイニングバーのWカウンター。鮨、天ぷらの後は、洋酒で一杯も。
リーマンショックなどがあり、世の中の景気がいまひとつさえなかった2009年。外食を楽しむ人たちの間でも、いわゆる「はしご」をしなくなってきました。
「そのころ、私もビストロで仕事をしていました。そんなとき、父親が提案してきたんです。『俺の鮨屋とお前のダイニングバーをひとつの空間でやらないか』と。そうすればお客さんははしごをしないで済むだろう?って。はじめは何言っているんだと思いましたけど、振り返ると、あの父親のひとことがこの店をつくるきっかけになったんです」(裕司さん)
東山昭さんは、鮨職人として半世紀以上も活躍してきた仕事人。
その息子である東山裕司さんは、バーやビストロなどでの経験をもつ、新しい感性をもつ若い世代。
この親子によるコラボがユニークな業態「鮨とDining Bar しん」をつくりあげました。
職人がつくる天ぷら、刺身、鮨を、サービスマンの裕司さんがさらに魅力的に盛り上げます。
「さまざまな年代のお客さまに楽しんでいただいています。親父の昔からのお客さまは鮨カウンターに座って、鮨をつまんで酒を飲む。若いお客さまは、ダイニングバーのカウンターに座って、私とおしゃべりしながら食後にチーズやイベリコ豚のジャーキーをつまみに、洋酒を楽しんだり。BGMも、その日、その場の状況で刻々と変化します。だからやってて、毎日が楽しいです」
敷居は低く、でもお出しするのはカッチリした職人技。それを、支える東山裕司さんのカジュアルなサービス。はしごいらず。一軒で、何度も楽しめる。それが「鮨とDining Bar しん」の魅力なのですね。


職人といったって、私はおしゃべりするのが大好きなんです(笑)
渋谷~表参道あたりで、鮨を食べようと思うと、気になるのがコスパですよね。
でもご安心を!
壁に鮨のネタごとの価格がきっちりと明記されています。しかも、一貫からOK!
値段を気にせず、好きなものをお腹いっぱい食べられるのは大きな魅力ですね。
料理を仕切るのは昭さん。お鮨屋さんならではの玉子焼き、天ぷらなどは奥のキッチンで。鮨はもちろん、カウンターの前で握ります。ひとりでキッチンとカウンターを移動しながら、秒単位の繊細な仕事がつづきます。
「15才からこの世界に入って、鮨ひとすじです。職人と言ったって、私はね、おしゃべりするのが大好きなんです(笑)。お客さんとも、楽しくおしゃべりしながら仕事をしていますよ。それに、時代は変化しているんだから、今のスタイルを考えながらやらないとね。だから食べたい鮨を一貫からリーズナブルに。メニューはあるけど、あれできない?これつくってくれない?って、リクエストにもできるだけお応えしています。むしろ、そういうサービス面にこだわっていきたいですね」(昭さん)
鮨職人であり、とても柔軟な感性ももっています。
「ただね。お客さんが何も言わないで帰っていくのを見るのがいやでね。やはり笑顔になって帰ってほしいと思っています。そうじゃないと、心配になってしまうんです(笑)」
ふたつのカウンターで、今日もお客さましだいで、さまざまな楽しみ方が生まれていそうです。

お鮨は一貫からOK! 壁に貼られたお品書きには、ひとつひとつに値段がついているから安心&明朗会計です。

職人歴50年を超える東山昭さんがつくっているのは鮨屋さんの定番、玉子焼き。職人ならではの技と経験が活きています。

入って左が鮨カウンター。右がダイニングバーカウンター。どちらに座っても、鮨や天ぷらが楽しめます。

- 鮨とDining Bar しん
- 東京都渋谷区渋谷2-8-10 青山FMビルB1F
- tel.03-3409-4778
- 営:ランチ月~金 11:30~14:00
- ディナー月~土 17:30~24:00(お食事 L.O.22:30)
- 休:ランチ:土、日、祝
- ディナー:日、祝日
- 交:各線渋谷駅徒歩7分
Wカウンターの「しん」さん、とてもユニークな業態でしたね。さて、次回のお店をご紹介いただきました。「内山さんの経営する『ジュピター』は、女性に人気のダイニングです。うちはカウンターがメインですけど、『ジュピター』さんはソファ席もあって女子会とかが人気です。渋谷でおすすめの一軒です」。ありがとうございます。それでは次回も渋谷からのレポートをお届けします。