
第47回 酒とさか菜


ここでしかお目にかかれない銘酒も。日本酒を語りだしたら止まりません(笑)。
まだ正月気分の残る1月初旬にお伺いした「酒とさか菜」さんは、蔵元直送の日本酒専門店──。
男山のにごり酒、奥丹波の純米吟醸生、一ノ蔵の特別純米生厳守しぼりたてなど、新酒初しぼりが入荷していました。
この時期のおすすめ銘酒もずらり。
蓬莱泉の「空」の純米大吟醸や七冠馬の吟醸うすにごりなど、日本酒ファンにはサプライズなお酒も!
しかも、料理には和歌山の三ツ星醤油、岐阜の福来純3年本みりん、京都の村山本家の千鳥酢、愛媛の波動の塩、伊豆の本わさび、福岡の廣久葛本舗の本葛にこだわり、化学調味料は一切使わず。
日本酒の味わいを変えてしまうウーロン茶は置かず、ルイボスティか蔵直送の仕込み水がチェイサー替わり。
こう書くと、なんだか敷居の高そうな店だと感じてしまいますよね。
ところがそんなことないんです。日本酒のことを、正子さん(ま~ママ)が楽しそうに語っているだけでその酒を呑みたくなってしまう。不思議な魔力の持ち主なんですね。
インターネットラジオ「ま~ママの呑ミュニケーション倶楽部」を立ち上げ、入荷したお酒の情報発信までやってしまうのです。
「日本酒を語りはじめたら止まりません(笑)。もともとラジオ番組の企画やパーソナリティをやっていたんですけど、あるご縁で蔵元さんとお会いし、その魅力に取り付かれてからは日本酒にぞっこんなんです」


マスターの職人技とのコラボも魅力!呑みごろのお酒に、旬の料理でまったりと。
1985年からお店をはじめているので、もう30年近くも日本酒を愉しみ、各地の蔵元さんとのつながりもとても深いのが「酒とさか菜」さんの特長です。
直送されてきたお酒の感想をいちはやく蔵元さんに伝え、ときにはこういう方法で「酒とさか菜スペシャル」をつくってください、とリクエストすることも。
実際に呑んでみたいというお客さんを集め、ミニファンドを設定し、蔵元さんとのコラボで「明酒」というオリジナルの日本酒までつくりました。
蔵元さん側からみると、正子さんは飲み手の一番打者であり、信頼できる批評家なのかもしれませんね。
品質管理された呑みごろのお酒が直送されてくる「酒とさか菜」さんは、ショールームのような場所? いや、蔵元さんの試飲室そのものです。
「渋谷にいながら、各地の蔵元にいるような感覚でお酒をお愉しみいただきたいですね。入荷したてのお酒を料理長でもあるマスターが試飲して、その日の料理を考えます。マスターの出身地でもある本場静岡おでんは、純米吟醸との相性もぴったりです!」
高塚茂樹さん(写真)はものすごい集中力でカウンターに並ぶ大皿料理を仕上げていきます。季節の魚を丁寧に昆布〆にしたり、日本酒に合うカレーにチャレンジしたりと、食材を知り尽くした職人ならではの腕が冴え渡ります。でも、ちょこっとユーモアを飛ばしたりして、正子さんとのコラボも息が合っていますね!
好きだから、みんなに広めたくてお店をやっている──。そんな正子さんたちの純粋なハートが、お酒と共に沁み入る夜でした。ごちそうさまでした。

茂樹さんは静岡県出身。静岡おでんは、マスター入魂のひと品! まっくろなダシに味噌ダレをかけて食べます。くぅ~、日本酒に合う!

ま~るい笑顔が二重丸! ま~ママに憧れて気がつけば日本酒党になっていた、鈴木茉莉子ちゃん。「ま~ママの呑ミュニケーション倶楽部」に出演中。

道玄坂上交番からクネクネと下っていくと、大きくて丸い酒林(さかばやし)が見えてきます。日本酒ファンにはたまらない外観です。

- 酒とさか菜 (さけとさかな)
- 東京都渋谷区神泉町12-4
- tel.03-3496-1070
- 営:17:00~24:00
- 休:日・祝
- 交:各線渋谷駅徒歩7分
- ※インターネットラジオ 「ま~ママの呑ミュニケーション倶楽部」
http://www.saketosakana.net/radio/
日本酒は翌日ひびくから、と日本酒を敬遠しがちな人には「純米吟醸以上のお酒を呑めば大丈夫。ただし、飲みすぎには注意してね」とのアドバイスをいただきました。さて、次回のお店は焼酎専門のお店です。「うちが日本酒専門でしょう? 次回は焼酎専門なんていかがでしょうか。『古典』の長屋さんはいち早く焼酎に注目されてお店をやってこられた方。渋谷のよき仲間です」。ありがとうございます。それでは次回、「焼酎Bar 古典」さんでお会いしましょう。