
第55回 炭火焼と旬のおさかな 菜の花


活魚から炭火焼きまで。楽しく迷ってしまう豊富なメニュー。
テーブルにある数冊のグランドメニューを開くと、細かな字で料理がズラリ♪
カウンターの壁には、大きく手書きされた炭火焼きのメニュー。特大サバや和牛のレバーやハツ、おっと稀少価値の高いイチボまで。モツは芝浦仕入れです。
一枚にまとまった「本日のおすすめメニュー」には旬のメニューがぎっしり!
発砲スチロールの中では、市場や佐島漁港から仕入れてきたばかりの鮮魚がブクブクと酸素を送り込まれて、活かされています。刺し身は、人気メニューのひとつ。
横浜の地元野菜を使った料理も盛りだくさん。メニューから季節を感じることができるのも、日本料理ならではです。
その品数、常時100種類以上!
普段使いで週に何度訪れても、これだけ料理があると飽きることはなさそうですね。
「地元神奈川県の食材をメインに、敷居は低く、でもひと品ごとに本物を提供する居酒屋をめざしています」
リーマンショックに見舞われたオープン直後でも、ロス覚悟で毎日新鮮な食材で心をこめて料理をつくりつづけました。目の前のお客さまに全力をつくし、お帰りの際には店頭でお見送りする。厳しい環境下にあっても、丁寧なサービスをひとつひとつ実行してきたわけです。
そうした繰り返しが今日の「菜の花」として開花しています。
「お客さまから旅のお土産とかをよくいただいたり。いつも地元のみなさんから応援していただいているというのが実感です」


人と人とのつながりの大切さを、修業時代に学びました。
高原俊之さんの料理人デビューは22才のとき。少しだけ遅めの業界入りといえそうです。
海が大好きで、石垣島に4年間も滞在したことがあります。島のホテルレストランでも経験を積みました。
その後は、親方について、多くを学びました。
「親方の知り合いのお店にヘルプ要員として入ることが多く、今考えるといい修行になったと思います。その日のうちにメニューを覚えたり、チームワークよく仕事をする必要があるわけですから、柔軟性が身についたかもしれませんね」
和洋問わず、店を選ばず、親方が「行ってこい!」と言われた仕事場に飛び込む。
さまざまな食材にさわることができ、料理の引き出しを膨らませることにも役立ちました。「菜の花」のメニューの多彩さは、この時代の経験が生きているといえるでしょう。
「修業時代は、あえてYESマンで通したんです」
YESマン?
「親方の言っていることが明らかに間違いだと分かっていても、『はい、そうですね』(笑)。今日は疲れているから帰ってすぐに寝ようと思っていても、親方が飲みに行くぞと言えば、『はい、喜んで!』(笑)。でも、その飲み屋さんで素晴らしい人と出会うことが多かったですね。断っていたら、そういうチャンスを見逃していたと思うんです」
「菜の花」をオープンして、お客さま一人ひとりとのつながりが強いのも、こうした経験が生きているのですね。

店内奥には、心地よさそうなテラス席も。あたたかい季節には、ビアガーデン代わりにここで生ビールなんて最高ですね!

市場で仕入れた鮮魚はそのまま酸素で活かしたまま店へ。この日もカワハギなど、季節の魚が元気に泳いでいました。

割烹のような敷居の高さのないカジュアルな店内。高原さんの職人技を目の前で見られるカウンター席はおすすめ。

- 炭火焼と旬のおさかな 菜の花
- 横浜市都筑区荏田東4-1-1 ボードウォークガーデンB-3
- tel.045-949-9601
- 営:17:00~翌2:00
- 休:木曜日
- 交:横浜市営地下鉄センター南駅徒歩7分
自分の街にもこんなタイプの店があればいいのに。「菜の花」さんは、そう思えるお店でした。さて、次のお店も横浜、センター南です。「まだ二十代の、新しい独立者をご紹介したいですね。イタリアンバルの『アヴァンツァーレ」はオープンしてまだ間もないのに、もう人気店に成長しています。私もよく行くんですが、いい感じのバルですょ」。ありがとうございます。それでは、若い世代のオーナーシェフが何を考え、どんな店づくりをしているのか。次回もセンター南からのレポートです。