
第26回 くらら


独立を前に、自転車の旅へ。地酒や郷土料理を学ぶために。
高円寺のガード下に行って来ました。
ずらりと並ぶ飲食店の数に圧倒されますね。しかも、どのお店も店主の個性がいっぱい詰まっていて、おもしろそう♪ 探訪のしがいありですね。
高円寺のガード下は、有楽町に負けてない!
さて、「くらら」さんはガード下の牛もつ鍋のお店。店主の新井秋夫さん、自転車で登場です。
新井さんの体の一部のように走りこまれたマウンテンバイク。実は、「くらら」を創業する前に、このマウンテンバイクで旅をしてきたそうです。
「寝袋やテントを担いで、四国~九州をまわって、フェリーで沖縄まで。新潟へも行きました。お金がないので、夜は野宿です(笑)。楽しかったですよ。その地方の居酒屋に入って、地のものをいただくのが楽しみでね。地酒はうまいし、その土地の郷土料理もたくさん食べました」
メニューを拝見すると、博多名物のもつ鍋や福井県の家庭の味「へしこ」も。
「じぶんの店でどんなメニューにしようかなぁ、と考えながら飲み食いするわけです。いっしょに旅したカミさんと『この料理、高円寺で出したらいいんじゃない?』なんて相談しながらね」
もともとホテルレストランやダイニングバーなど、洋食経験も豊富な新井さん。幅広い料理スキルを活かして、地方のうまいもんをじぶんスタイルにしてメニュー化したのです。各地の地酒はもちろん、沖縄の泡盛もありまっせ!


商品力とコミュニケーションで、リピーター率上昇中!
15時には店に入り、仕込みをはじめます。お店の入り口を整え、お客さんをお出迎えする準備にも熱が入ります。今日のメニューを掲げて、さっそく牛もつ鍋に使うスープの仕込みへ。
旬を大切にしながら、おいしさに妥協のない、丁寧な仕事で料理を仕上げていきます。商品力は「くらら」さんの大きな魅力!
「知り合いが営む芝浦のお肉屋さんで新鮮な牛もつを仕入れています。スープはいわゆる博多のもつ鍋とは違って、濃厚な白濁系。とんこつ、とりがら、背あぶらをたっぷりと使っています。グツグツと煮立てるので、営業中はとんこつラーメン店みたいな匂いが立ち込めて(笑)。はじめてのお客さんにはまず牛もつ鍋と刺身鶏白レバーナムルをおすすめしています」
こってりすっきりの牛もつ鍋目当てに来店する層は、20代から30代前半の若い人たち。リピーターが多いのも、「くらら」さんの特長のひとつ。
「はじめてのお客さんには、とにかくコミュニケーションを心がけています。地元の人が多いので、うちの常連さんと実は知り合いだったり。あるいは私の知り合いがやっているおいしいお店を教えてあげたり。そうやって横でつながっているのが高円寺のいいところなんです」
商店街のバレーボールチームにも所属しており、日曜日には楽しく試合をしています。
近所の店主たちが「くらら」さんに飲みに来たり、新井さんが仕事帰りに立ち寄ったり。高円寺の夜は、人々がつながり、交流しあいながら、酒と料理を楽しみながらの語らいがつづくのです。

グツグツ煮立てるスープは白濁して濃厚なおいしさ。このスープをベースにした新鮮なモツ鍋がおすすめです。

高円寺エリアで飲食店を営む知り合いのショップカード。このお店おすすめですよと、お客さんを紹介しあうことも。

エッジのきいた店がずらり。高円寺ガード下は有楽町に負けてません! 電車の通過するときの振動も味のうち。

- くらら
- 東京都杉並区高円寺南3-68-1
- tel.03-3336-2342
- 営:18:00~翌2:00
- 休:月曜日
- 交:JR高円寺駅徒歩2分
高円寺のお店は、これで3軒目。どのお店も、おいしくて安くて店主の人柄が魅力ですね。新井さんも、人なつっこいタイプで高円寺らしいゆるめのキャラでした。さて、次のお店も高円寺。「北口で知り合いがお店をやっています。業態はいまどきのアメリカ料理。ハンバーガーやジャンバラヤがおいしいですょ」。ありがとうございます。それでは次回、アメリカ料理をじっくりと味わってみたいと思います。