
第27回エルパト


アメリカ滞在15年。本場仕込みの美味しさを高円寺で。
昭和の面影を残す庚申通り商店街──。ふとん屋さんや電気屋さんの向かいに、いまどきのアメリカ料理を食べさせてくれる「エルパト」さん、ありました。
ガラス張りの明るい店内に、アメリカ人のお客さんがサンドイッチを食べながら、オーナーの大東清さんと英語でおしゃべりしていました。すごいっ。英語でジョークを飛ばして、お客さんを笑わせているではないか……(汗)
「15才のハイスクール時代から15年間、アメリカに滞在していたんです。メイン州で過ごした期間が長く、勉強のかたわら、現地のすし店や和食店でバイトしていました」
十代の後半から二十代に至るまで、アメリカのレストランで仕事をつづけながら、気軽な家庭料理から研ぎ澄まされたフランス料理まで、その時代の食文化を学んできた大東さん。帰国後、本場アメリカのクラシックなおいしさをメインに、これまでの経験の集大成になるようなお店をつくろうと「エルパト」をオープンさせました。
フレンチフライのチリビーンのせ。BBQスペアリブ。タコス。ケサディア。そしてつなぎ無し!粗挽きビーフ100%のエルパトバーガー!……アメリカらしいメニュー名が並んでいます。
「アメリカのフレンチレストランで働いていたころ、僕なんてペーペーの立場でしたから、毎日アメリカ人スタッフにまかないをつくっていたんです。そのとき、みんながよろこんで食べてくれた料理を、メニューにしているものが多いんですょ」
なるほど! パテ・ド・カンパーニュやフォアグラのソテーなど、フレンチスタイルのメニューもあるのは、フレンチレストラン時代の経験が活きているのですね。


パンやピザ生地は、すべて自家製。チリビーンズは、アメリカのまかない風。
今回いただいたのは、「バッファローチキンウィング(写真下)」と「チリビーンランチ(自家製パン付き)」。写真→
刑事コロンボが好んで食べていたアメリカを感じさせてくれる料理「チリビーンズ」。大東さんのつくるチリにはアボガドがトッピングされて、まったりとしたコクをプラス。まさにカリフォルニアスタイル!
「これも、アメリカ時代にまかないでよくつくった料理なんですょ。チリビーンまかない風とでも呼びたいメニューです(笑)」
ルイジアナホットソースをベースにしたピリ辛のソースがきいている、バッファローチキンウィングもうまいっ! ソースのついた指まで舐めたくなるおいしさです。
パンやピザ生地は、すべて自家製。目の前のカウンターでは、ハンバーガーがつくられている最中。牛肉の粗引き具合がとてもワイルド。バーガーにつかわれているバンズももちろん自家製です。次回は、エルパトバーガーをオーダーするゾ!
シェラネバダ・ペールエールなどのアメリカビールや志賀高原ビールなど、スパイシーなアメリカ料理にぴったりのビールもずらり勢ぞろい。
一人ひとりのお客さんにやさしく丁寧に接する清さんと直子さん。取引している酒屋さんに対してもとてもフレンドリーなのでした。私もお店を出るとき、思わず握手したくなるような接客で、心を開いたサービスもアメリカンスタイルといえそうです。

ニューヨークのバッファローという町で生まれたアメリカ料理「バッファローチキンウィング」。酸味と辛味がきいて、ビールがすすむぜぃ!

さまざまな調味料が並んでいるところが、アメリカンダイナーならでは。辛すぎてヤバそうな「DEATH Sauce」なんてのもある(汗)

高円寺駅北口、昔ながらの商店街に「エルパト」はあります。テラス席で犬の散歩途中にハンバーガーとビールも、粋ですね。

- エルパト
- 東京都杉並区高円寺北2-22-10
- tel.03-6795-7888
- 営:ランチ12:00~15:30
ディナー18:00~22:00 - 休:月曜日
- 交:JR高円寺駅徒歩2分
本場アメリカ仕込みの「チリビーンズ」を食べることができて大満足でした。イタリアンやフレンチにはないスパイシーさと繊細さ。そしてビールによく合うのがアメリカ料理なのかもしれませんね。さて、次のお店はフレンチです。「リーズナブルに素材感を大切にしたコース料理を堪能できるのが『レ マリアージュ ド ガク』さん。私たちの大好きなレストランです」。ありがとうございます。それでは次回は、恵比寿のカジュアルフレンチでお会いしましょう。