
第28回 レ マリアージュ ドゥ ガク


カウンターの目の前で肉料理をグリル。ライブ感あふれるフレンチ。
3周年なんですね。おめでとうございます。ファンから送られたお祝いの花束がエントランスに飾られていました。
銀座の老舗フレンチレストラン、オーナーシェフの個人店、大箱のベルギーレストランと、さまざまな規模のレストランで仕事をしてきた和久井シェフ。
自分の店をつくるときは「自分の目のとどくサイズ」のレストランにしようと考えました。
カウンターのある空間は全14席。目の前の鉄板で、黒毛和牛のイチボなどが焼かれます。シェフや料理の距離感がとても近い。カウンター席はオススメ。相撲でいうと、砂かぶり席みたいなライブ感を味わうことができます。
和久井シェフの出身地でもある栃木県の食材やココファームのワインを積極的に取り揃え、埼玉の契約農家、星野農園からは有機野菜が送られてきます。そして毎日、シェフ自ら築地へ行き、自分の目で確かめながら食材を仕入れます。
店名にもあるように、生産者とお客様を「マリアージュ」するかけ橋のようなレストランなのですね。
心がけているのは「分かりやすいフレンチ」。
「自分の親が食べても、いま何を食べているかがわかるような、それでいて、うん美味しいって言ってもらえるようなフレンチをめざしています。アソビ心とチャレンジ精神、このふたつのスパイスも大切ですね。食べたとき、頭で考えて、じゃなく、感覚的に美味しいって思える料理を表現していきます」


おまかせコース1本で勝負。そのコスパを支えるのは、努力と体力。
ディナーは、全6品のおまかせコースのみ。いさぎよい、というか、分かりやすいですね。メインと〆のひと皿、デセールはチョイスできます。
で、お値段が5,250円!
ということは、グラスワインをちょこっと飲んでも1万円でお釣りがきちゃう。コスパ、すごすぎです。
なぜ、こんなことができてしまうのでしょう? きっと、その裏で目に見えない努力をしているからでしょう。
「自分の目と足で仕入れる、というのが基本ですね。ワイナリーへも出かけて、生産者とコミュニケーションしながら買い付けます。それと、食材のひとつずつに私なりの上限仕入れ価格を設定しています。鯛ならこの価格まで!って自分で決めて築地に行くわけです。ときどき、上限超えちゃいますけどね(笑)。そうすることで、食材のロスがでなくなるわけです。その分、価格でお客様にも還元できます」
おまかせディナーコース1本で勝負している、というのはそういうことだったのですね。
「お客様にも楽しんでいただき、しかも生産者やレストランにも利益が出る。ちゃんと利益を出すって、長くレストランをつづけるうえで、とても大事なんです。もちろん、私もシェフとして、経営者として、楽しんで仕事をしています。楽しめないと、やっている意味がありませんからね」
オーナーシェフって、お客様がなにを求めているのか、それを感じ取って、ビジネスモデルとして展開するという、経営者としての力量が問われているんですね。

この日の前菜は、「栃木県ヤシオマスのマリネ 契約農家の有機野菜と共に」でした。春の息吹を感じるひと品です。

かわいらしく気品あふれる絵が飾られていました。アソビ心のある料理との相性もよく、楽しく食事ができますね。

「自分の目のとどくサイズ」を表現した全14席の空間。和久井シェフとの距離感も近く、カウンターはまさにシェフズテーブル。

- レ マリアージュ ドゥ ガク
- 東京都渋谷区恵比寿1-4-1 恵比寿アーバンハウス105
- tel.03-6450-4743
- 営:平日18:00~23:00(LO 21:30)
土日祝ランチ12:00~15:00(LO13:30)
ディナー17:30~23:00(LO21:30) - 休:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日定休)
- 交:各線恵比寿駅徒歩5分
わずか14席ということもあり、予約の取りにくいレストラン「レ マリアージュ ドゥ ガク」。人手不足で大忙しのようです。オーナーシェフとして「楽しめないと、やっている意味がない」の言葉が印象的でした。さて、次はフレンチから一転、すし業態へ向かいます。「鮨 くりや川」さんです。「厨川さんは同世代の料理人です。ジャンルは違うけど、同じ恵比寿でお互い刺激しあいながら成長していければと思っています」。ありがとうございます。それでは次回も恵比寿でお会いしましょう。