
第53回 ワイン食堂 ツルカメ


オーナーが中心になって動く。だから、空気感が明るく、元気になる
横浜・保土ケ谷といえば閑静な住宅街だと思っていたのに、平日のランチタイムに伺うと、ビジネスパーソンの熱気で賑わっていました。みなさん、いったいどちらから?
「もう少し先に行くと、横浜ビジネスパークというビジネスの一大拠点があるんですね。オフィスビル群のなかにレストランもあるんですが、ちょっと足を伸ばして当店にもお越しいただいています。大変ありがたく思っています」
そう語ってくれるのはオーナーシェフの杉本豊樹さん。
前職の外食企業時代、すべての業態を統括する総料理長として実績を積んできました。
独立に先だって、企業人時代には忙しくてなかなかチャレンジできなかったソムリエの資格も取得! でも光輝くソムリエバッジをつけることもなく、おまけに料理もスタッフに任せて、みずからお客さまをお出迎えし、オーダーを取り、パスタを笑顔で運んでくれる人なのでした。
タイミングよく水をつぎ足してくれたり、空いたお皿は自然に下げられていきます。オーナーシェフというより、オーナーサービスマン!
私がチョイスした、本日のランチパスタは「サーモンと春キャベツのレモンクリームパスタ」。野菜たっぷりのサラダとドリンクがついて900円! しかもパスタは大盛り無料!
サラダがとても美味しく、かなりの量。パスタのソースにはほどよいレモン風味が効いていて、クリームソースなのに意外とさっぱり♪ 美味しかったです。


地元に末永く愛される食堂でありたいとの願いを、店名に込めて。
それにしても店名の「ワイン食堂 ツルカメ」って、かっこつけないベタな感じが逆に新鮮ですね。
「地域密着でやっていこうと思っています。この街にはビジネスパーソンのみなさんの他にも、何世代もこの街に暮らすファミリーやご年配の方も多くいらっしゃいます。そういう人たちに対して、ひとりよがりなイタリア語の店名をつけても意味がないと思うんですね。それよりも地元に末永く愛される食堂でありたいとの願いを店名に込めました」
店舗は全面ガラス張り。中の様子がすぐ分かるので、女性ひとりでも入りやすい。グロスも敷かず、カジュアルにテーブルで食事を愉しめる環境はまさに「食堂」ですね。
地元横浜~湘南エリアの生産者たちの野菜や肉を積極的に扱い、黒板のメニュー名もできるだけわかりやすく表記しています。「ソーセージの昔風ナポリタン」なんて昭和なパスタが登場する日も。
無駄なこだわりは捨て、喜んでいただくためのこだわりは捨てない。そんな杉本さんの想いが伝わってくるようです。
もっともっと総合力のある食堂を目指していきたいと、抱負を語る杉本さん。オープンして2年経ち、ますます地元密着を意識しているようです。
「企業にいた頃は、立ち上げもスタッフも仕入れも、なんでも会社が用意してくれました。でも今は違う。限られた制約のなかで、精一杯のハイパフォーマンスを発揮する必要があるんです。そのことも含めて今は楽しむようにしているんですょ」

アンティパストと書かずに「小皿おつまみ」と表記。こんなところにもお客さま目線が生きていますね。しかも一皿300円のコスパは貴重です。

この日のランチパスタ。サーモンと春キャベツのレモンクリームをいただきました。レモンのほどよい酸味でさっぱりとおいしかったです!

アットホームな店内は、地元のパスタファンや横浜ビジネスパークからのビジネスパーソンで連日賑わいます。地域密着の食堂なのです。

- ワイン食堂 ツルカメ
- 横浜市保土ヶ谷区岩間町2-100-10
- tel.045-744-9033
- 営:11:30~14:30 (L.O.14:00) ※平日のみランチ営業
- 17:00~23:00 (L.O.22:00)
- 休:日曜・第3月曜
- 交:JR保土ヶ谷駅徒歩7分
「地域密着」──。文字にするとわずか四文字ですが、そこには年月をかけて積み上げていくチャレンジがあるということを、杉本さんに教わったような気がしています。さて次のお店をご紹介いただきました。「仕事帰りにちょこっと立ち寄るバーがあるんです。『焼酎ダイニング8』はほっとできる素敵なバーですょ」。ありがとうございます。それでは次回も保土ケ谷でお会いしましょう。