
第54回 焼酎バーHACHI


シェアハウスならぬシェア飲食店のようなモダン横丁。
保土ヶ谷駅からつづくバス通りを歩いて行くと、ちょっと気になるデザインのビルがありました。
今話題のシェアハウスやシェアオフィスが上階にあり、その一階は奥に向かって横丁ぽい通路になっています。
ハンバーガー、フレンチ、すし、とエッジのきいた個人店が通路の片側に軒を並べています。そのいちばん奥にあるのが「HACHI」。看板には「8」と手書きされていました。
通路にはテーブルが置かれ、半分野外気分を味わいながら、それぞれのお店の料理が楽しめるそうです。きれいなトイレも共同で使います。
シェアハウスならぬ、シェア飲食店みたいな空間なんですね。
「このビルは倉庫を改装してできたものなんですょ」
そう説明してくれたのは、店主の伊與田(いよた)まさみさん。自転車通勤なのでした。おっとっと、気をつけて。
「蔵みたいな造りでしょう。うちの店舗スペースは知り合いの大工さんにお願いしてつくっていただきました」
まさみさんは、もともと自宅に知人を招いてみんなでお酒や料理を楽しむことが好きで、その延長にこの店があるそうです。
「飲食店経営なんて、もうほとんどシロート!(笑)。ただ、お酒を飲みながらワイワイやるのは大好きなんです。近くの横浜ビジネスパークのみなさんが帰りにちょっと一杯とか、ご近所の方がしっぽりと隠れ家的に使ってくださるのがうれしいですね」


沖縄・石垣島滞在4年。チャンプルーやヒラヤーチもメニューに。
まさみさんは、沖縄の石垣島に滞在していました。食堂で仕事をしながらのんびりとした生活を送ってきたのです。
「最初は3ヶ月のつもりだったんですけどね、気がついたら4年もいました(笑)。以前は雑貨屋さんを営んでいたこともあったんですょ。私は、あんまり深く考えずに、思いたったらまず実行しちゃうタイプなんですね」
メニューには、ゴーヤチャンプルーやヒラヤーチ、沖縄風焼きそばも。なるほど、石垣島時代に腕をみがいた料理ですね。
泡盛は……、ありましたありました。やはり八重泉ですね。
「人によっては沖縄バーみたいに感じているようですけど、そんなに沖縄に片寄らず、誰もが楽しめるお店をめざしています。日本酒も人気なんですよ」
女性店主ひとりで店を回すことって大変でしょう?
「料理のオーダーが次々と舞い込んで、みたいな夜は大変ですね。みなさんにご迷惑をおかけしています。ただ、常連さんをはじめみなさんいい人ばかりでどんなときでも笑顔でのんびりとお酒を愉しんでくださいます。ありがたいことですよね」
沖縄に4年もいたり、いきなり焼酎バーはじめたり。なんだかとっても自由な人生ですよね。そのテーゲーさが店の空気感になっているようです。
「じぶんのペースで生きてます(笑)。ストレス? うん、ないかも。1年先の自分がどうなっているか、なんて想像もつきませんから(笑)」

まさみさんとのおしゃべりも楽しめるカウンター席はおすすめ。石垣島に行ったことある人なら、いろいろと共通の話題に華が咲きそうですね。

ふたり連れにはこんなテーブル席も。木材とコンクリート打ちっ放しの組み合わせによる空間なのに、ほんわかとしたあたたかさが伝わります。

ハンバーガー、フレンチ、すし、まったく異なる業態が集まっているビルのいちばん奥。店の前には屋外テーブルや芝生まであって、ユニークな空間です。

- 焼酎ダイニング HACHI
- 横浜市保土ヶ谷区岩間町2-161-1 Ware House 161 No.5
- tel.050-3580-1334
- 営:18:00~24:00
- 休:日曜日
- 交:JR横須賀線保土ケ谷駅徒歩7分
保土ケ谷の飲食店を2軒ご紹介して、横浜のレストランシーンにも新しい風が吹いているなぁと感じました。さて、次のお店も横浜エリアです。「石垣島時代にお世話になった仲間で、私と違って料理人としての経歴がすごくある高原さんの『菜の花』さんをご紹介します。炭火焼きがとてもおいしいんですょ」。ありがとうございます。それでは、次回は横浜センター南からのレポートです。