
第66回ビーボ!


味わいも、色彩も、コクもキレも、ひとつひとつ違う個性派ビール。
営業時間前にうかがうと、上坂さんはTシャツ一枚になり、モップに水を浸してフロアを掃除していました。ぎゅっ、ぎゅっと音がするくらいしっかりと力を入れ、汗をかきながら。店長として、自分が中心となって動く姿がチームを引っ張っている様子が伝わります。
「いや、チームという考えはあまりないんです(笑)。みんな経験豊かなスタッフなので、それぞれの仕事をきちんとやっていくだけ。今日もお客さまの楽しいカンパイを演出することに集中するだけなんですょ」
ここは、樽生ビールが常時20種楽しめるビア&ダイニングバー。フィッシュ&チップス、ソーセージ、パスタ、チリコンカン……等々。ビールにぴったりの料理メニューも充実しています。
ガス圧・温度調整、洗浄の行き届いたビールサーバーのタップが20口、整列しているカウンター内は実に壮観な眺めです。飛行機のコックピットみたいなかっこよさ。乾いたノドがクラフトビールをほしがります♪
「ブルワリーから樽単位で仕入れています。季節もののビールも多彩に揃えているため20種類がひんぱんに入れ替わって、常に新鮮なクラフトビールを楽しんでいただいています。クラフトビールのブームも手伝ってか、女性のお客さまも増えているんですょ」
味わいも、色彩も、コクもキレも、ひとつひとつ違う個性。
家じゃ飲めない稀少なクラフトビールがそろっているのは、ビールファンならずとも魅力的ですよね。
色がかわいいから、という理由でオーダーするもよし。好きなブルワリーを発見したら、そこのビールを掘り下げてみるもよし。間口を広く、しかも奥行きは深く。さまざまな楽しみ方で、クラフトビールの世界に浸れます。
ビールのメニューには、ブルワリー名をはじめ、原産国、エールやピルスナーなどのスタイル、アルコール度、色などのデータがぎっしり。ノドも知識も、シゲキしてくれるのですね。


クラフトビールの世界はまだまだ未知数。だからやりがいがある。
「コクとかキレって何?」
「ビールに合うつまみとは?」
「上面発酵と下面発酵の違いとは?」
「賞味期限ってあるの?」
「ビール注ぎ名人って?」
ビールにまつわるそんな疑問にも答えてくれます。
「クラフトビールの世界はまだまだ未知数の可能性があると思っています。できるだけブルワリーのビール祭みたいな行事に参加して、生産者のみなさんの考えを知ることにも積極的に取り組んでいます。それを自分たちの言葉で、お客さまにどう伝えていくか。それが今、私たちのテーマでもあります」
ワインや日本酒の世界には、それを伝えるための文体とかポイントがハッキリとしていますが、上坂さんたちはクラフトビールの世界で「伝える」努力をつづけているのです。
ホームページやブログには、本日のラインナップと樽の開栓情報、ブルワリー情報、季節の新ビールなどのインフォメーションが毎日更新されて、上坂さんのビールにかける情熱が伝わってきます。
「クラフトビール業界は、まだまだ小さなマーケットなんです。だから横のつながりも大切にしています。ブルワリーさんとの交流以外にも、さまざまな街にあるビアバーさんとの情報交換なども心がけています。いっしょにクラフトビールを盛り上げていきたいですね」
上坂さんたちの情熱は、ハウスエールという商品でカタチになっています。
静岡県にある家族経営のブルワリー「ベアード・ブルーイング」とのコラボで、オリジナルエールをつくってしまった! 正真正銘、ここでしか飲めないオリジナルの味わいです。

常時20種類の樽生ビールを用意! それぞれのビールの品質ごとに、温度・ガス圧をしっかりと管理するのも、上坂店長の重要な仕事となっています。

カウンター正面の棚には、世界のブルワリーの専門グラスがずらりと並んでいます。カタチもデザインもユニークで、見ていて飽きないから不思議!

ビールバーとして使ってもよし、しっかり料理を楽しんでもよし。大型モニターでサッカー日本代表を応援するもよし。今宵も、樽生ビールで乾杯♪

- ビーボ! ビア アンド ダイニングバー (vivo! BEER+DINING BAR)
- 東京都豊島区東池袋1-20-5 七富久ビルB1F
- tel.03-3987-1588
- 営:火~金17:00~翌2:00
- 土・日15:00~翌2:00
- 月17:00~24:00(23:30LO)
- 休:無休
- 交:各線池袋駅徒歩5分
クラフトビールの魅力を伝えようとする上坂さんの情熱、すごかったです。池袋の喧噪から地階を下りるだけの場所に、こんな素敵な店があるなんて。池袋、おそるべし!(笑)。さて、次のお店をご紹介いただきました。「モルト専門のバーから独立した坂井さんがはじめたバーがあります。モルトにこだわっていておすすめです」。ありがとうございます。では次回も池袋からのレポートです。